目に浮かぶ光景は
モノクロの中の赤。
Dry Rain
「秋華ッ!!」
「秋華ッ!!!どうしたんだ!秋華!!」
「・・・和・・・也?」
乱れた息を吐きながら、私の肩を揺らしている和也。
「お前・・顔・・・。」
「見ないでッ!!!!」
痛い・・・痛いけど・・・それ以上に・・・
こんな傷にまみれた顔を・・・見ないで・・・。
「・・・また・・・やられてるのか・・・?」
「おい和也ッ!いきなりどうしたって・・天音・・・。」
「どうした竣・・っ!?」
「・・・見ないでっ・・・。」
「おいテメェら、俺をおいて・・・って、クソ女・・・どうしたんだその顔・・・。」
「秋華・・病院行こう。」
「イヤだ。」
「秋華、手遅れになったらどうするんだ?」
「・・・・。」
「・・女の子の顔に傷って・・・ヤベーんじゃねぇ?」
「俺、保健室の先生でも呼んでくる。」
「沙那、俺も!」
「・・・秋華、誰にやられた・・・?」
「・・・わかんない・・・。カッター見た途端・・意識吹っ飛んで・・。」
「・・怖かったな・・・。良く頑張った。すぐ・・・直るからな。」
それから保健室の先生が来て・・・病院へ行った。
幸い、傷は完治するらしく、1週間程度で直るらしい。
で、診察室からでて、トイレに行き、ついてきてくれた5人のところに行こうとしたら・・・
「おい・・・あのクソ女・・・どうしたんだ?」
「あぁ・・・そうだね。少し・・・わけありそうだったけど・・・。」
「あぁ・・・あの気が強い天音があんな取り乱すなんてな・・。」
「・・・前の高校で、イジメ・・があったんだ。」
「・・イジメぇっ?!」
「・・似合わないね。」
「だろ?・・・でも、あれは猫、被ってるんだよ。
本当のアイツは・・・脆くて・・・壊れそうでな・・・
しかも・・・おととしにおふくろさんたち・・亡くしてな。
アイツにはいとことかいねぇし・・お婆さんとかもなくなってるし・・。
独り身で・・・ほっとけなかったから、ここに編入させた。
イジメも・・・無くなればって思ったんだが・・。」
「・・・・それで・・あんなに和也が心配してたんだな。」
「ダチもいねぇから・・・俺しかアイツとまともに話す奴がいなかったんだよ。
カッターで・・・自殺しようとしたこともあって・・・一度は意識不明の重体になって・・・
もう、親父たちも俺も・・・見てられなくてな・・・。」
・・・・そう・・だったんだ。
左手首・・・。
『秋華。お前、こんな馬鹿な真似やるんだったら俺のいる高校に編入しろ。』
『でも・・私は大丈夫『親父たちが心配している。秋華に有無は言わせねぇよ。』
『ありがとう。』
嬉しかったよ・・・だから・・・今も頑張れるんだよ。
大丈夫・・・今は本当に・・・。
「みんな、帰ろ。」
笑顔。大丈夫。私は大丈夫。
「おい、クソ女。」
「・・・何?須磨くん。」
「頼れば良い。」
「・・・は?」
「・・・だから、俺たちも頼っていいっつってんだよッ!!」
「おぉ・・・悠太!!大人になった「うるせぇ!竣!!」
・・・良い奴なのか・・・悪い奴なのかわからない・・・。
でも・・・
「ありがとう。ありがたく、頼らさせていただきます。」
この言葉しか浮かばなかった。
「・・・秋華、久々に笑ったな。」
「・・えっ!?嘘?!」
「ずっと見てきたからわかる。」
「もう少し、技術磨かなきゃねッ。」
笑って帰る帰り道は
「うっせーばか!!」
「何よ!!うすらとんかち!!」
私と須磨の声が響いた。