失くす
この痛みは・・・
World Loves
当日。
「お姉ちゃん、頑張ってきてね!」
そう言って手を振ってくれた愛羅。
「うん。お姉ちゃん、頑張ってくるからね。」
ギターを持ち、優利・秋絵ちゃんと待ち合わせしていたところに行く。
「よし、行こうか。」
秋絵ちゃんがそういった。
「うん。行こう!」
そう言って私は行く。
ーーーー
「わ〜・・・結構多くね?」
優利の第一声。
「そんな事言わないで・・・。ただでさえ緊張してるのに・・・。」
そういう私。
「マスコミも多いね・・・。会場満員だし。」
秋絵ちゃんが言うように、会場は満員だった。
テレビカメラが何台もある。
「ほら、行くよ菜香。」
そう言って、私はチケットに書かれている席へ行く。
「あれ〜?菜香、隣じゃないっ!」
そう、秋絵ちゃんの席は私の隣だった。
優利は言うまでもなく、私の隣だった。
ライブ開始まで5分前。
「歌詞とかばっちり覚えたのか?」
最後の追い込みのように優利が言ってくる。
「大丈夫・・・のはず。」
自信はないけど、覚えた。
Melody of a Sound
ビーーーー・・・
「な・・・何?」
「始まるんだよ。」
そう小声で言う優利。
あたりは真っ暗になり、ステージに誰かがいる。
そして、その人が止まった瞬間にスポットライトがその人に当たる。
そして歌いだす。
secret of heart
アカペラで歌う。
ステージに立っている彼女はとても輝いていた。
「今日はみなさん!ライヴにきてくれてどーもありがとうっ!!!!!」
歌い終わってすぐにそういう。
「今日は、最後に大事な発表があるから宜しく!」
「「「「イエーーーイッ!!!」」」」」
会場が熱気に溢れる。
「大事な発表って、多分菜香のことだよ!絶対。」
そうだと・・・いいな。
それから、全部で6曲歌った。
途中に休憩を挟みながら。
そして、いよいよ私が歌う。
どきどきする。頭が破裂しそう。
「今から、重大発表がありますッ!!」
マイクを持ち、会場に言う奈江。
「今日から私はもう1人の女の子と一緒に活動していくことになりました!!
優奈!!Come On!!」
そう言われて、私は立つ。
「頑張れッ!」
「ここで・・・聞いてるぜ。」
そういう、秋絵ちゃんと優利の声援。
「頑張ってくる。」
そうして、私はギターを持ち奈江のところへ行く。
「優奈です!宜しく〜!!」
そうして、私は自己紹介する。
優奈は、大好きな人からとった名前。
奈江の奈と優利の優。
秋絵ちゃんと愛羅も入れたかったけど、また苗字とか作る時にしようって思ったから。
「それでは、優奈が加わってはじめての曲、聴いてください。」
奈江がそう言ったあと、一呼吸おき
「「Melody of a Sound」」
そう言って、二人でギターを弾く。
記憶の片隅に あの音がある
音を感じ そして すべてを感じる
涙を流し 途方にくれて
背中見ていた 彼の姿
手を伸ばしても 届かない
隣にいても
もう振り返らないと決めたあの日
でも それは無理だと気づく自分がいる
あの日君と聞いた あの歌を歌おう
最後の最後まで 一緒に聞いた歌
戻らないけど 君に傍にいてほしい
この音がある限り 私は忘れないよ
ギターを弾き終わる。
そうして、ライヴは失敗することなく終わった。
が・・・・。
「奈江ちゃん!!奈江ちゃん!!!」
「しっかりしてッ!!!奈江ちゃん!!!」
「奈江ッ!!「奈江さん!!「奈江ちゃん!!」
そう・・・奈江は急に倒れてしまった。
「奈江ぇぇぇぇぇぇぇええええええーーーっ!!!」
・・・前々からわずらっていた病気が原因だったらしい。
奈江は、ライヴが終わった直後、帰らぬ人になってしまった。
私は涙を流した。
いつか・・・私もこうなってしまうんだと・・・
そう涙を流しながら・・・
奈江を失って・・・傷が痛む。